2019.08.6
第1回 素材について考える1(外壁編)

コアのある家 東面2

早いもので前回のブログを書いて一年以上が過ぎてしまいました。

お陰様で法人化して5期目を無事終える事ができ6期目に突入しています。

そこで今期は心を入れ替えて、この「にっき」をもう少し更新してみようと思い立ちました。毎回テーマを決めて、僕はどんな事を考えて「建築」・「住宅」の設計に向き合っているのか?

 

「家」とは?「間取り」とは?「素材」とは?etc…

 

自分自身の確認の意味でも独り言の範囲で書き留めたいと思っています。

まずは「素材」についての考えについて書いてみます。

僕の基本的な思考は、 「素材はできるだけ『素』のままが好き」です。

なるべく飾らない「素」のままで作る事ができないか?そんな事を思っています。

 

それでは第1回目です。
外壁について。
建物を外側を覆う材料について考えてみる。外壁は建物の躯体を守ってくれる最初の砦である。また外観を左右する大事な要素でもある。「建物」は所有者のものである事は間違いないが、その「外観」は町や地域、都市を形成する要素であり「公共性」を内包する。したがって、外壁はその建物のカタチや大きさと共に周辺に対する配慮が必要だと考えている。風景や地域にに対する、その建物の「立ち居振る舞い」が大切だと考えているのである。勿論「建物を守る事・内部環境をより良く出来る事」も重要である。その様な事を考えてそれぞれの建物の設計に日々勤しんでいる。

では、現在外壁に使える材料の選択肢は何があるだろうか?

住宅を中心に考えれば、主流は専ら窯業系サイディングである。その他の材料を考えてみると金属系サイディング、ガリュバリュウムに代表される金属板、タイル、木、セメント系塗り壁、コンクリートあたりか。若しくは其れ等を下地に表面塗装を行うこと。変わり種で言えば昔はよく見かけた漆喰壁か屋根材でよく使われるシングルやコロニアル。稀に石貼り等が考えられる。

 

僕の設計ではその中でも「木」を好んで使うことが比較的多い。よく「木」の防火性能や耐久性、腐食について窯業系サイディングに代表される新建材系の材料と比べたネガティブな言葉をもらう。勿論、「木」は燃えるし腐る。色も変わればシミもつく。まるで良い事が無いようである。
翻って「サイディング」はセメント系だけに火に強く、腐ることも少ない。その上タイルや木を模した凹凸をつけたプリントで本物を使うより安価に疑似体験することができる。その上メンテナンスフリーに近い。これが一番の理由なのかも。

 

それでは、「木」はそんなに悪い事ばかりなのだろうか?
そうでは無い。だから僕は積極的に採用しているのである。
「木」には様々な表情があり一つとして同じ表情が無いし動く。よって硬くなりがちな建築の表情が柔らかくなり街に温かみを提供してくれる。

 

防火性はどうだろうか?普通に考えて「木」は燃えやすい。しかし、その下地材との組み合わせで防火性能を持たせることができる。また厚みを増す事により防火性能を増す事もできる。その他高価にはなるが防火材注入をしている商品も流通している。使い方次第である。

 

次に熱環境について。
外壁を「木」で覆う事により僅かながらにでも内部の熱環境にも寄与できるのでは無いかと考えている。
熱は対流・輻射・伝導によって移動する。そしてあらゆるモノは熱を保持する性格を持つ。その保持された熱は時間をかけて放射(輻射)されている。熱容量の大きいコンクリートの建物が無断熱だと夏の夜になっても暑かったり、冬に底冷えするのはこの為である。
外壁も然りである。夏の昼間太陽に照らされたり、冬の木枯らしに晒された外壁はその季節の熱を蓄えているはずである。
「木」は主流の外壁材である窯業系サイディングよりも熱容量が小さい。つまり熱を保持しにくい。よって放射される熱も少ない筈なので内部環境はより良くなる筈だと考えている。

 

最後に腐朽について。
これは乾燥状態を保つことである程度は解消できる。乾燥していれは腐朽菌が繁殖しづらく腐りにくい。要は板の裏側にも通気層を作り雨などで濡れた場合でも乾燥を促す構造を施すことで対応できる。その他保護剤を塗布することで更に寿命を延ばす事が出来るので保護剤(塗装)をする事が多い。但し、この表面塗装には細心の注意を払いたい。表面に着色をすれば「木」が化粧されて綺麗に見えるのだが、時間が経てばその着色が褪色して人によっては「ボロさ」を増したと感じる事がある。したがってそれを気にされる方は細かな塗り直しが必要になる。そうする事で新築当時の様な状態を保つ事は可能にはなる。 無着色に近い状態であれば「木」そのものの色素が抜け褪色し「銀白化」しその後「煤けてくる」それ自体も前述の「ボロさ」に繫がる事であるが、「素」の素材をそのままに近い状態で使う事により「素材」が「自然」に変化する事であるので「劣化」と捉えるというより「良い味」が出てきたと考えている。

 

実はこれと同じ事は「木」に限らずその他の材料についても同じように考えている。セメントはセメントらしく、金属は金属らしく使うのが一番「自然」であり素材が生き生きして最も輝くのではないかと考えている。

要は「素」のままが良い。

糸島の家 糸島の家(杉板+キシラデコールやすらぎ)

耳納の家  耳納の家(杉材をサーモウッド加工)

有田の家  有田の家(杉板+ウッドロングエコ)

展望台の家  展望台の家(杉板+キシラデコールやすらぎ)

丘の上の家  丘の上の家(杉板+ウッドロングエコ)

eight  eight(杉板+ウッドロングエコ)

コアのある家 西面  コアのある家(杉板+ウッドロングエコ)

HOUSE F  HOUSE F(杉板:防腐注入材)