コアのある家

福岡県の西端、糸島市に於ける住宅地に建つ夫婦と子ども3人が住う小さな住宅建築である。
旧住宅地の中、敷地4面がほぼ隣の住宅に近接しているという条件の中で、プライバシーを保ちつつ拡がりを持たせ、これから爆発的に加速するであろう高性能住宅(高気密・高断熱)、省エネ住宅(heat20 G2)として設計した。

その上で、新しい建材を新たに解釈しながら、「素」の材を効果的に使い、建築計画において空間ボリュームの操作や開口部の高さの調整、奥性による広がり感、外部との繋がりや庭からの導光の使い方により新しい「和」を模索している。

リビング上部を大きな吹抜けにする事により、空間的広がりを与えている。また、子ども達の各個室は扉どころか間仕切壁も造らず、全てカーテンによりプライバシーを確保している。この事により将来時間を追って巣立っていく家族の変化にも柔軟に対応できるようになっている。また、平面だけは無く立体的にも家全体を凡そ一体空間(ワンルーム)とする事が、家族の繋がりをより強調すると共に、空調効率UPにも貢献している。

住宅を高性能にする為に、高気密・高断熱は勿論のこと、外壁を熱容量が小さい木質化する事によって、外壁自体の蓄熱量が小さくなりそもそも断熱材に与える熱負荷を少なくし数値化しづらいが更なる断熱効果を狙っている。

外壁を木質化することは断熱効果だけで無く、施工時点から既に経年変化を起こしており新築竣工時に、以前からそこに存在していたかの様な佇まいを醸し出し、地域の風景に馴染んでいる