ワークショップハウス

春日市の古い住宅地における計画である。画一的につくられた古い住宅地の通りには街灯も少なく、何となくグレーの古い住宅が所狭しと建ち並んでいる。
その中の一つの敷地に計画したこの小さなお家は、このグレーの町並みに明るい一石を投じたいと思いデザインした。敷地一杯に建てることをせず、建物高さも低く抑えることで、通りからの圧迫感を押さえ、感じる空の大きさを大きくした。外壁の色も明るい白色にし、左官仕上げで柔らかな表情を持たせることで、表面を太陽の光が不均一に照らし出し工業製品にはない温かな印象を持たせている。
また、薄暗い通りのあんどん代わりになればと思い玄関部に障子を配した大きな開口を設けている。この開口は縁側的要素も備えていて、小さなお子さんが学校から帰ってくるのをお母さんが腰掛けて待っていたり、将来歳を重ねたご夫婦が日向ぼっこしながら通りを眺める光景などは想像した。 建物内部は小さな床面積を感じさせない様、各部屋を緩やかに繋げ、家全体で一つの部屋のように計画した。

【プロデュース】株式会社プロトハウス事務局
【施工】株式会社若杉建設
【写真】FAKE 大野博之